眼鏡の町・福井県鯖江を拠点に、年商200億円を超える企業体を築き上げた藤田徳之氏。彼が率いるフジコンホールディングスグループは、眼鏡事業を中核に据えながらも、雑貨・化粧品・再生可能エネルギー・航空機リースといった多領域に展開し、社会課題の解決と事業成長を両立しています。
「社会にどれだけ役に立てたか」という経営哲学のもと、持続可能な100年企業を目指す彼の取り組みについてみていきましょう。
藤田徳之氏の経営手腕と理念について
藤田徳之氏は、1963年に福井県の眼鏡メーカー経営者の家系に生まれます。
防衛大学校理工学部を卒業後は、陸上自衛隊でヘリコプターパイロットとして活躍していました。
1990年、父親の病気を機に家業を継承し、2003年に藤田光学株式会社の社長に就任。
自衛隊で培われたリーダーシップと決断力を基盤に、老眼鏡・サングラス分野で国内トップシェアを獲得するという偉業を成し遂げました。
現在は、福井県鯖江市を本拠地とするフジコンホールディングスの代表取締役社長として、グループ年商200億円規模の事業を統括しています。
藤田徳之氏が手掛けるビジネスとビジョン
フジコンホールディングスは、眼鏡事業を主軸としながら、生活雑貨、再生可能エネルギー、航空機・コンテナリース事業という4つの主力事業を展開しています。
創業60年以上経過した今でも、「社会問題の解決をサービスの基本として展開する」ことを掲げ、顧客の生活を豊かにするために日々取り組んでいるのです。
「人生の価値や企業の価値は、社会にどれだけ役に立てたか」という藤田氏の信念が、事業展開の根幹となっています。
持続可能な社会の実現に向けて、ESGやSDGsへの取り組みも積極的に行っているのです。
アイウェア業界における革命的な施策と技術革新
福井県鯖江市で創業したメガネパーツ製造会社を引き継いだ藤田氏は、「豊かな視生活の提供」「生活者応援企業」を理念に掲げ、顧客視点に立った製品開発を推進しています。
2000年には大創産業との取引を開始し、韓国・台湾・中国での海外生産体制を早期に確立し、グローバル戦略により、企業の成長基盤を強化しました。
特筆すべきは、軽量メタル「TECHNOS EYES」がGOOD DESIGN AWARD 2015を受賞したことです。
「一枚の板材からカットして作るという明解なコンセプト」により、軽さと美しさを実現し、業界に新たな価値基準をもたらしました。
お風呂用メガネ「EYE❤入浴」
フジコンホールディングスは以前、藤田光学という会社名でした。
当時開発された「EYE❤入浴」は、入浴時の快適な視生活を実現するための専用眼鏡として注目を集めています。
このお風呂用メガネの最大の特徴は、透明性・耐衝撃性・耐熱性に優れた光学レンズに特殊曇りコートを施している点です。サウナや温泉でもレンズが曇りにくいされています。
フレームに使用されている「TR-90」は、医療用具にも使われている素材です。軽量で超弾性があるので装着時の密着感が抜群なうえ、曲げても折れにくい構造になっています。
「EYE❤入浴」温泉やサウナでの快適な過ごし方を求める人や、入浴中の読書・動画視聴を楽しみたい人に人気の商品です。
浴室で足元を安全に確認できるという機能が備わっており、安全面からも高い評価を得ています。
藤田徳之氏による複合的なビジネス展開と成長戦略
フジコンホールディングスでは、眼鏡事業で培った技術や知見を活かし、多角的な事業展開を進めています。
雑貨事業部門では「Fujikon corporation株式会社」を設立し、100円ショップ向けの商品企画から出荷まで一貫して対応。
化粧品事業では「株式会社CNJ」を通じてOEM開発を手掛け、医薬部外品の開発に関するノウハウを獲得しました。
エネルギー分野では「株式会社ECO ENERGY」が太陽光発電システムを導入し、CO2削減に貢献。
航空機・船舶分野では「株式会社AVIATOR OP」でリース事業を展開し、社会インフラを支えています。
これらの事業が連携して互いの強みを引き出し、グループ全体の成長を促しているのです。
藤田徳之氏の経営理念と職場づくりに関する取り組み
「社会にどれだけ役に立てたか」を企業価値の指標とする藤田氏の経営哲学は、事業の随所に反映されています。
危機管理能力や長期的な視点に長けており、安定した経営基盤を築いています。
2000年には鯖江青年会議所理事長、2002年には日本青年会議所理事を歴任し、地域社会への貢献にも尽力。
職場環境の改善にも注力し、2024年からは育休制度を拡充しました。
「笑顔でやりがいを持てる職場」の実現を目指し、働きやすい環境づくりを推進しています。
「破天荒フェニックス」に見る藤田徳之氏の逆境克服物語
「破天荒フェニックス」とは、メガネチェーン「OWNDAYS(オンデーズ)」の再生劇を描いた話題作です。
2012年、倒産寸前のオンデーズに対し、藤田氏は1億円を出資し復活を支援しました。
同社が業界No.1になる可能性を見抜き、先見性ある投資判断で企業再生に貢献したのです。
2020年にはテレビドラマ化、2022年と2023年には舞台化され、2023年版では赤井英和氏が藤田氏役を演じ話題となりました。
エンターテイメント作品として多くの人々に感動を与えるとともに、藤田氏の卓越した経営手腕を世に知らしめる機会となったのです。
まとめ
防衛大学校卒業後、自衛隊パイロットから企業経営者へと転身した藤田徳之氏。
現在では年商200億円規模のフジコンホールディングスを率い、**老眼鏡・サングラス分野で国内トップシェア**を獲得するなど、数々の実績を残しています。
これまでも、海外生産体制の早期構築やオンデーズ再生支援など、先見性ある経営判断で業界をリードしてきました。
「時代に必要とされる価値あるサービスを提供し続ける」という企業100年構想のもと、持続可能なビジネスモデルを構築しています。
社会課題の解決を軸とした経営姿勢は、次世代の企業経営のロールモデルとして広く注目を集めています。
藤田氏の活躍とフジコンホールディングスの今後の発展に、目が離せません。